

パッヘルベルのカノン
2016年の1月に立ち上げたチェロアンサンブルグループ、EnsembleOhr。 最初に取り組んだ曲はパッヘルベルのカノンでした。元はバイオリンの曲ですから当然チェロで弾くにはハイポジションを使わなくてはならず、みんなにとってはちょっとだけ高いハードルとなりました。まだ4thポジション以上が弾けない人のために「primary」という易しめに編曲した楽譜も用意しましたが、最終的にはみんなオリジナルの楽譜で弾けるようになりました。 ご存知のようにカノンとは輪唱で、3パートで同じ楽譜を2小節ずつ遅れながら弾きます。それだけでも綺麗なハーモニーが続いて楽しいのですが、ただ弾いて終わっては面白くないと思い、なにか仕上げるべき目標像を掲げたくなりました。このカノン1曲を眺めて、1枚の絵のように仕上げるにはどう切り口を見つけるか。 まず大きなところではこの曲は3つに分けられると思い、私はこの3つの部分を「朝、昼、夜」としました。 朝は、夜明けのようにゆったりと四分音符のメロディーから始まり、八分音符でベッドから起きだして背伸びをして。 そして鳥のさえずりのよう


バロックチェロ
バロック奏法とかピリオド奏法などの言葉を初めて聴いたのはいつのことだったか。ヨーヨー・マがある時期、弓を短く持って演奏していた事が有り、それはバロック奏法を意識したものだと、当時の先生が教えてくれました。 私が初めてバロックのチェロ弓を手に入れたのは12、3年前でした。長岡京アンサンブルの森悠子先生の音楽道場を受講したとき、森先生がバロック弓での呼吸感(下げ弓は吐く息、上げ弓は吸う息)をデモンストレーションしてくださって、とても興味を覚えたからでした。しかしただ手に入れただけではただの道具。そのまま長い事お蔵入りをさせてしまいました。 そうしている間にも世の中にはバロックスタイルが増えて行き、YouTubeでもいくらでも動画を見る事が出来ます。 私の感性がようやく目を覚ましたのはバッハの「マタイ受難曲」や「ヨハネ受難曲」をバロックスタイルで演奏されたのを聴いた時で、ヴィブラートは少なく低めのピッチにオリジナルの楽器とガット弦の音色。それまで主流だった重々しく重厚なバッハではなく、透明で暖かみがあり素朴でもある演奏がとてもすんなりと入って来ました。