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好きな演奏家たち〜チェリスト

もちろんチェリストには好きな人がたくさんいます。

過去、一番心を揺さぶられたのはミクローシュ・ペレーニ。ハンガリーのチェリストです。

チェロが好きな人ならペレーニの名前をベストに上げる人も多いはず。

私はバッハの無伴奏チェロ組曲で初めて彼を知りました。まず聴き始めた第1番のプレリードでは、あまりにも自然で何気ない演奏なのに、こんなにも静かに猛烈に感動させられたことに驚きました。

この時に聴いたのはレコードからだったので、実は勝手に昔々のチェリストだと思っていたのですが、この録音がペレーニの30代の頃、1948年生まれのまだ現役バリバリのチェリストです。

(1948年生まれだとポール・マッカートニーより若いんですから)

幸いにも、来日公演を東京で2回、福岡で2回聴く事が出来ました。最初のレコードの時の印象と違わず、自我を滅却して音楽に捧げものをするように演奏される姿は、神々しいばかりです。

次にご紹介するチェリストも雲の上の方ですが、同時に親しみもあるダヴィド・ゲリンガス。リトアニア生まれでドイツ在住のチェリストです。

レパートリーは本当に幅広いのですがロシア近隣の現代の作曲家を積極的に紹介されていて、その中で生で聴いたのはシェンデロバス作曲の「Concerto in Do」とバスクス作曲の「チェロの本」。現代曲を初めて聴く時は少し引き気味で迎えてしまいますが、そんな懸念など埃のように吹き飛ばされる圧倒的な演奏でした。それどころかその世界観に体ごと引き込まれ揺さぶられ、喜びでも悲しみでもない説明のつかない涙が滂沱と溢れました。

親しみがあるというのは、ゲリンガス氏は客演指揮者として九州交響楽団に2006年から4年ほど福岡に来られていて、その度に奥様ともお食事をともにして、楽しい思い出を作って頂きました。

それからバロックチェロのアンナー・ビルスマ。やはりバッハの無伴奏チェロ組曲になりますが、ピッチの低いバロックチューニングでガット弦のざりっとした音色で、呼吸するような自然な演奏には、おじいさんの昔語りを聴いているような気持ちがして来ます。バロックチェロといえば、日本人の若手演奏家の山本徹さんも、溢れるほどの音楽が素晴らしいです。

あとはお名前だけでも上げて行くと、トルレイフ・テデーン、マリオ・ブルネロ、ヨーヨー・マ。

最後に、この中でも誰にも似ていない独自の世界を持つチェリストが、我が師の木越洋です。

長年のN響トップ奏者としての経験とは、世界レヴェルの共演者からの多様な示唆やインスピレーションであり、その経験に裏打ちされた演奏は揺るがない様式美となり、美しい音色と芳醇な響きは聴く人の共感を呼び起こします。

CDはまだ少ないのですが、やっぱり生で響きに囲まれて聴くのが一番です。

今後、福岡でも演奏して頂く機会を作りますので、たくさんの方々に聴いて頂きたいと思っています。

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