再始動です。
1ヶ月ほどお休みをいただきました。
手術を受けて入院という人生で初めての経験をし、今までの自分ではなくなるかもしれないという恐ろしさも味わいました。
しかし、九州で1番という名医に執刀していただいて、おかげさまで以前と変わりなく復帰する事が出来ます。
命に関わる事ではないにせよ、自分が変わってしまうかもしれないという心配は決して軽くはありませんでした。
今ここに在ることの当たり前を心から有り難いと思います。
滅多になかったこの長いお休み。
無事に退院出来たら旅行をしようと手術前から決めていました。行き先は九重。
毎年11月にはカルテットの演奏で訪れている場所ですが温泉が有るし、なにより連休の谷間で人が少ないに違いないと読んで、九重町の「法華院温泉別館・花山酔」にチェロを携え二泊三日で出かけました。
着いてみると案の定の貸し切り状態で、2日目もスタッフのご家族が来られるだけで一般のお客さんはおられないとのこと。ありえないほどのびのび出来ました。
天気だけはあいにくでしたが、2日目の午前中の薄日を逃さず散歩に出かけました。
花山酔から自然探索路に入って約60分のコースをゆっくり歩きます。
車道からだんだんと離れるに従って聴こえるのは自分の足が地面を踏みしめる音。
遠くの鳥の声。
川のせせらぎの音。
枝を通り抜ける風の音。
宿に帰って温泉につかって、ちょっとウトウトっとしてから練習を始めます。これも贅沢!
そういえば、退院してすぐに師匠のレッスンだったのでまだ本調子でないとはいえ、何かもらおうと思って聴いて頂きました。自分でもそうかな?と思っていたのですが、手術のあとに音が変わりました。私の感触は左手はまだちょっと硬くていつも通りではないけど、なんだか音がよく聴こえている気がしていました。先生は「自由度が増してるみたい。自分が思うように弾けてるようだ。」とおっしゃってました。やはりよく聴けてるってことのようです。
3日目の朝。スタッフのご家族の方が、前日に別府湾で釣って来たクロという魚をくださいました。
ワタも鱗も処理してあって真空パックで冷凍してあるとのことでなんと親切な事でしょう。もう受け取りながらも頭の中ではどうやって食べようかと考えています。
そしてこれも何かのご縁だと思い、御礼にチェロを聴いて頂くことになりました。スタッフの皆さんもお仕事の手を一旦休めて、すっかりコンサートの体です。
ほんの3曲。バッハの無伴奏チェロ組曲から1番と2番のプレリュード、それとサン・サーンスの白鳥。人が生きていくその道の途中にはいろんな事が起こります。禍福は糾える縄のごとし。とても不安で悲痛な思いで始まった休暇が、このようなコンサートで昇華させていただけて、なんとこの気持ちを表現したらいいのか。
また明日から一所懸命チェロを弾きます。
クロは、家に帰ってからアクアパッツァで頂きました。初挑戦のお料理で見た目が今ひとつだったので写真はなし。。でも美味しく出来ました!